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2025.10.27
群馬県内の医療法人が採用するリース契約の実例と節税効果
医療機器の導入は、開業や経営拡大を考える医師にとって避けて通れない大きな投資です。特にMRIやレントゲン装置、電子カルテなどは数百万円から数千万円に及ぶことが多く、資金繰りを圧迫しやすい領域です。
こうした中で注目されているのが「リース契約」の活用です。群馬県内でも、一部の医療法人を中心に、設備導入時の資金繰りを安定させる手段としてリースを導入する動きが見られます。
結論:リースは「初期投資の圧縮」と「損金算入による税負担平準化」の両立が可能
医療機器をリース契約で導入する場合、購入と異なり一括支払いを行う必要がなく、初期投資を抑えながら最新設備を利用できる点が大きなメリットです。
特に、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する契約では、支払ったリース料を契約期間に応じて損金(経費)として計上することが認められています(※契約内容によって取扱いは異なります)。
これは、リース会社が機器の所有者となり、利用者である医療法人が使用料を支払う仕組みであるためです。
(参考:国税庁「法人税基本通達 7-3-7(リース取引の取扱い)」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7081/05.htm)
節税効果とコスト面の比較
医療法人が機器を購入した場合、減価償却により数年にわたって費用化しますが、リース契約では支払うリース料を契約期間に応じて損金処理できるため、初年度から費用計上効果が得られます。
例えば、年間リース料が300万円で法人税率が30%の法人であれば、単純計算で約90万円相当の税負担軽減効果が見込まれます(※実際の効果は所得水準や契約条件により異なります)。
ただし、リース契約には金利相当分・手数料・固定資産税分などが含まれるため、購入よりも総支払額が高くなる傾向があります。したがって、単年度の節税効果だけでなく、総コストと更新リスクを両面から比較検討することが重要です。
(参考:国税庁「リース資産の償却等」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7081/05.htm)
まとめ:リースは「資金配分を最適化する経営判断」
リース契約は、単なる「分割払いの手段」ではなく、資金繰りの安定化と費用計上による税務効果を両立する経営ツールです。
群馬県のように中小規模の医療法人が多い地域では、限られた資金を設備・人材・広報など複数の分野に分散投資する柔軟性が求められます。リースはその資金配分を最適化する手段の一つとして有効です。
一方で、リース契約は中途解約が難しいこと、所有権がリース会社にあること、総支払額が高くなりやすいことなどの制約があります。
したがって、リースを導入する際は、契約内容・金利条件・更新時の扱いを十分に確認し、税理士や金融機関と相談のうえ、自院の経営計画に最適なスキームを選ぶことが推奨されます。
(参考:公益社団法人リース事業協会「新リース会計基準と税制<借手側>」
https://www.leasing.or.jp/studies/docs/shinkaikei20250702.pdf)投稿者プロフィール
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開業医支援センターの代表税理士、医業経営コンサルタントの向田と申します。約15年間で50件以上のクリニックの開業と経営支援をサポートしてきた実績を活かし、ドクター皆様のお役に立ちたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
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